労災が認められず納得がいかない方へ
労災に遭ったとき、労災保険を申請しても必ず認められるとは限りません。労基署での審査により「労災に該当しない」と判断されて労災保険を支給してもらえないケースがあるためです。
労災が認められず納得できない場合には「審査請求」や「再審査請求」「訴訟」などの方法で判断を覆せる可能性があります。
今回は労災申請が認められなかった場合の対処方法を山口の弁護士がご説明します。
労災が認められず納得できない場合には「審査請求」や「再審査請求」「訴訟」などの方法で判断を覆せる可能性があります。
今回は労災申請が認められなかった場合の対処方法を山口の弁護士がご説明します。
1.審査請求
労基署で労災が認められなかったとき、まずは「審査請求」という方法で判断を覆せる可能性があります。
1-1.審査請求とは
審査請求とは、労災について再度の判断を求める手続きです。申請先は「労基署」ではなく「都道府県の労働局」です。
審査請求をすると労働者災害補償保険審査官が再度申請内容を精査して、労災に該当するかどうかや後遺障害の等級などを判断します。
労働者災害補償保険審査官が労災であると認めれば、労基署の判断が覆って労災と認定され、労災保険の支給を受けられます。
審査請求をすると労働者災害補償保険審査官が再度申請内容を精査して、労災に該当するかどうかや後遺障害の等級などを判断します。
労働者災害補償保険審査官が労災であると認めれば、労基署の判断が覆って労災と認定され、労災保険の支給を受けられます。
1-2.審査請求の書式
労災審査請求の書式は次の通りです(2019年10月現在)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000506018.pdf
1-3.審査請求すべき場合
労災保険の審査請求は、以下のような場合に行いましょう。
- ◯ そもそも「労災に該当しない」と判断された
- ◯ 認定された後遺障害の等級が低すぎて支給される補償の金額が低額になった
- ◯ 治療が終了していないのに治癒したと判断されて治療費の支給を受けられなくなった
- ◯ 残業代の不払い等のために、休業補償や障害補償の計算に使われる給付基礎日額を少なく計算されたため、支給される保険金が低額になった
1-4.審査請求の期間
労働者災害補償保険審査官に対する審査請求には期限があるので注意が必要です。
労基署による決定を受けてから「3か月以内」に手続きを行う必要があります。
それを過ぎると審査請求を受け付けてもらえなくなるので、不服があるなら早めに対応しましょう。
1-5.審査請求を成功させるポイント
労働者災害補償保険審査官は労基署ではありませんが、同じ行政機関であり判断の枠組みも同じです。
労基署に提出したのと同じ資料をもって同じような主張を行っても判断を変更させられない可能性があります。
結果を覆すには、新たな証拠や医師による診断書、意見書、新たに実施した検査結果などが必要です。
労基署に提出したのと同じ資料をもって同じような主張を行っても判断を変更させられない可能性があります。
結果を覆すには、新たな証拠や医師による診断書、意見書、新たに実施した検査結果などが必要です。
1-6.審査請求にかかる期間
審査請求をすると、決定までに半年から1年程度の時間がかかるケースが多数です。
請求後3か月が経過した時点でまだ判断が出ていなければ、審査請求の結果を待たずに「再審査請求」や「行政訴訟」を起こすことが可能となります。
2.再審査請求
労働者災害補償保険審査官へ審査請求をしても認められなかった場合や、審査請求をしても3か月以内に判断が出なかった場合には、「再審査請求」によって判断を争うことが可能です。
再審査請求の方法
審査請求が認められなかったのでその後に再審査請求をする場合には、審査決定を受けた後「2か月以内」に再審査請求の手続きを行う必要があります。
再審査請求の提出先は「労働保険審査会」です。労働保険審査会も、労基署や労働者災害補償保険審査官と同様、国の行政機関の1つです。請求をすると、結果が出るまでに半年程度はかかる例が多くなっています。
現実には労働保険審査会に再審査請求をしても、判断が覆る可能性は低いといえます。労働保険審査会も労基署や労働者災害補償保険審査官と同じ行政機関であり、同じ判断の枠組みで審査しているからです。
先に労基署や労働者災害補償保険審査官が記録を精査して却下しているのですから、よほどのことがない限り労働保険審査会が別の判断を示して労災を認める、という結論にはなりにくいのです。
再審査請求の提出先は「労働保険審査会」です。労働保険審査会も、労基署や労働者災害補償保険審査官と同様、国の行政機関の1つです。請求をすると、結果が出るまでに半年程度はかかる例が多くなっています。
現実には労働保険審査会に再審査請求をしても、判断が覆る可能性は低いといえます。労働保険審査会も労基署や労働者災害補償保険審査官と同じ行政機関であり、同じ判断の枠組みで審査しているからです。
先に労基署や労働者災害補償保険審査官が記録を精査して却下しているのですから、よほどのことがない限り労働保険審査会が別の判断を示して労災を認める、という結論にはなりにくいのです。
3.行政訴訟
審査請求や再審査請求をしても、労基署による判断が覆らない場合「行政訴訟」を起こして裁判所に判断をやり直してもらうことが考えられます。
3-1.行政訴訟とは
行政訴訟とは、国や地方自治体を訴える裁判です。
労基署や労働者災害補償保険審査官、労働保険審査官は国の機関なので、その判断に不服があれば国を訴えることで、判断を変更させる可能性があります。
具体的には労災が認められなかった処分や、後遺障害の等級認定や給付基礎日額についての処分を取り消させることができます。
具体的には労災が認められなかった処分や、後遺障害の等級認定や給付基礎日額についての処分を取り消させることができます。
3-2.行政訴訟を提起できるケース
労災認定に関する行政訴訟は、以下の場合に提起できます。
- ◯ 審査請求をしても3か月以内に判断が出なかったとき
- ◯ 審査請求をしても満足のいく結果が出なかったとき
- ◯ 再審査請求をしても満足のいく結果が出なかったとき
3-3.行政訴訟を提起できる期間
行政訴訟も提起できる期間が限られているので、注意が必要です。
審査請求に対して訴訟を起こす場合には審査決定を受けてから半年間、再審査請求に対して訴訟を起こす場合には再審査の決定を受けてから半年間です。
半年を過ぎると訴訟を提起できなくなるので、不満があるなら早めに裁判手続きの準備を進めましょう。
審査請求に対して訴訟を起こす場合には審査決定を受けてから半年間、再審査請求に対して訴訟を起こす場合には再審査の決定を受けてから半年間です。
半年を過ぎると訴訟を提起できなくなるので、不満があるなら早めに裁判手続きの準備を進めましょう。
3-4.行政訴訟と審査請求・再審査請求の違い
裁判所で行う行政訴訟と、労働者災害補償保険審査官や労働保険審査会で行う審査請求・再審査請求には根本的な違いがあります。
判断する機関が異なる
1つは「裁判所」が判断するのか「行政機関」が判断するのかという違いです。 裁判所は、国の行政機関ではありません。裁判所は独立しており、国や立法府などの他機関から影響を受けずに自由に判断できます。判断の基準(枠組み)が異なる
審査請求や再審査請求の場合、同じ行政機関が国の定めた労災認定基準によって判断をしますが、裁判の場合には裁判所が独自の基準によって判断をします。裁判所が採用する基準は、基本的にはこれまでの裁判例の蓄積によって形成された基準であり、国の定めた労災認定基準とは異なる可能性があります。
以上のように、判断する機関と判断の基準が異なることにより、行政訴訟を起こすことにより、労災認定結果が異なる可能性があるのです。
労災が認められなかった、後遺障害の等級が低くなって納得できない、残業代不払いがあったために残業代を算定してもらえず給付基礎日額を低く計算された場合などには、あきらめずに山口の弁護士までご相談ください。
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