【労災事故】切れやこすれによる事故の発生件数、多い業種、具体例について
現場では、作業員の身体が切れたりこすれたりして負傷する労災事故が数多く発生しています。特に製造業や建設業、飲食業などに携わる労働者の方は注意が必要です。
今回は切れやこすれによる労災事故の発生件数や特に多い業種、事故の具体例を労災対策に積極的に取り組んでいる山口の弁護士が解説します。
1.切れやこすれによる労災事故の発生件数
切れやこすれによる労災事故とは、刃物などの道具や物などに身体があたって切れたりこすれたりして死傷する事故です。
厚生労働省の資料(平成30年労働災害発生状況の分析)によると、平成30年における労災事故の全件数は127,329件、うち死亡事故の件数が909件です。
そのうち切れやこすれによる労災事故の件数は7,878件で、割合にすると6%超となっています。
切れやこすれによる死亡事故の件数は5件です。
2.切れやこすれによる労災事故の多い業種
切れやこすれによる労災事故が発生しやすい業種を、件数の多い順にご紹介します。
1位 製造業
平成30年にこの類型の労災事故がもっとも多かったのは製造業です。工場などでの作業中に機械や刃物等に身体が当たるリスクが高いことが影響しています。切れやこすれによる労災事故の全件数が7,878件であったなか、製造業では2,534件が発生しており、全体の32%以上が製造業で起こっている状況です。2位 建設業
平成30年、2番目に切れやこすれによる事故が多かったのが建設業です。建築現場での作業中に身体が切れたりこすれたりするリスクが高いためです。件数的には1,267件発生しています。3位 飲食業
3番目に多かったのは飲食業です。食品等を運んだり片付けたり調理をしたり食器を洗ったりする際に身体を傷つけるリスクがあります。件数的には1,154件発生しています。4位 小売業
4番目に多かったのは小売業です。平成30年には1,013件の切れやこすれによる労災事故が発生しています。5位 農業、畜産、水産業
農業、畜産、水産業でも切れやこすれによる労災事故が発生しやすく、平成30年には249件の事故が起こっています。6位 林業
林業でも平成30年に237件の切れやこすれによる労災事故が発生しています。3.切れやこすれによる労災死亡事故の多い業種
切れやこすれによる死亡事故が多かった業種は以下の通りです。
1位 建設業
平成30年、切れやこすれによる死亡事故の全体件数は5件でしたが、そのうち3件は建設業において発生しています。 建設業ではこの類型以外でも転落や倒壊、飛来物などによる労災事故で死亡リスクが非常に高くなっているので、現場作業に携わる方は注意が必要です。2位 製造業、農業・畜産・水産業
2番目に死亡事故が多かったのは製造業と農業・畜産・水産業です。平成30年にはどちらも1件ずつ死亡事故が発生しています。4.切れやこすれによる労災事故の具体例
4-1.建設業
河川の護岸工事中に発生した労災死亡事故です。
被災作業員は携帯用の丸のこ盤を使って角材の加工作業をしていましたが、丸のこ盤が反発してはずみで刃が作業員の身体に当たりました。丸のこ盤の安全カバーが変形して刃がむき出しになっていたため、作業員は重傷を負いました。すぐに病院に搬送されましたが、死亡に至りました。この事業場では、作業者に携帯用丸のこ盤の取扱い方法についての安全教育も行われていませんでした。
4-2.建設業
プレハブ倉庫の新設工事で土地整備のため、敷地内の立木を伐採する作業中に発生した労災死亡事故です。
被災作業員は同僚と2人で携帯用の丸のこ盤や電動ドリル、なたを使って切り株を削る作業を行っていましたが、不安定な姿勢で作業をしていたことなどが影響して、道具が自分の身体に当たって負傷しました。すぐに病院に搬送されましたが死亡に至りました。
4-3.製造業
工場内で作業員が手持ち式のグラインダーを使って鋼板の切断作業を行っているときに発生した労災事故です。
作業中、手に持っていたグラインダーがはねて回転中の研削といしが当たり、作業員が大けがをしました。すぐに病院に運ばれましたが、数日後に死亡に至りました。
当時作業員は、長袖・長ズボンの作業服を着て安全靴をはき軍手をつけていましたが、それ以外の保護具は使用していませんでした。
作業台の周囲に材料や道具類が積み上げられており、作業員が身をかわすスペースがなかったことも事故の要因となったと考えられます。
4-4.製造業
作業員が可搬型の丸のこ盤を使い、薪の材料にするために木を切る作業を行っていたときに発生した労災事故です。被災者は丸のこ盤で桑の木を適当な長さに切断していたところ、誤って自分の身体を傷つけてしまいました。使用されていた丸のこ盤にはもともと刃の接触予防装置がついていましたが、事故発生当時は刃の覆いが外されて予防装置が機能しない状態でした。また可搬型丸のこ盤の使用要領や作業手順書についても作成されておらず、安全衛生教育も実施されていませんでした。
4-5.小売業
作業員はクッキー生地を切るためのカッター機械を作動させた状態で、同じ機械のベルト部分を掃除していました。クッキー生地の出口付近のベルトを拭いていたとき、誤って右手をクッキーカッター内に滑りこませてしまい、カッターの刃によって右手中指の先端を切断しました。
5.切れやこすれによる労災事故に遭ったら
作業中に身体が切れたりこすれたりして労災事故に遭ったら、まずは労災保険の申請を行いましょう。治療費や休業損害などが支給されますし、後遺障害が残った場合にはその補償も受けられます。死亡した場合の遺族への補償もあります。
また会社側が安全防止措置をとっていなかった場合などには会社へ損害賠償請求も可能です。証拠を集めて会社側へ支払いを請求し、交渉を行いましょう。
ただ被災者本人やご家族だけでこういった対応をするのは困難で、労災事故の被災者が権利を実現するには、法的な知識と専門のノウハウが必要となります。
当事務所では労災被災者へのサポートに積極的に取り組んでいますので、山口で労災事故に遭われたらぜひとも1度、ご相談下さい。
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