製造業の労災事故発生状況と対処方法
製造業に携わる方は、労災に遭うリスクが高いので注意が必要です。
平成30年には前年度よりも死亡者数が大幅に増えており、負傷者数も増加しています。
今回は製造業ではどういった労災事故が多いのか、また労災に遭ったときにどうしたら良いのか、労災案件に積極的に取り組んでいる山口の弁護士が解説します。
1.製造業における労災発生状況
厚生労働省が発表している「平成30年労働災害発生状況の分析等」という資料によると、製造業における労災発生状況は以下の通りです。
1-1.労災事故の全体的な件数
平成30年における製造業での労災事故の全体件数は27,842件でした。
平成26年には27,452件、平成27年は26,391件、平成28年は26,454件、平成29年は26,674件となっており、平成30年は前年度と比べると1,168件(4.4%)増加しています。
1-2.死亡者数が大幅に増加
平成30年における製造業での労災事故の死亡者数は183人です。
前年度である平成29年には160人であったところ23人も死亡者数が増えており、パーセンテージにすると14.4%もの増加となっています。
平成30年に死亡者数がこれほど増加した業態は製造業のみです。
1-3.負傷者数も増加
平成30年には前年度と比べて製造業における労災事故の全体件数が1,168件増加(うち死亡事故は23件の増加)なので、負傷者数に限っても大きく増えていることがわかります。
以上のように製造業では労災事故が全体的に増加傾向にあるといって間違いない状況で、携わっている労働者の方は注意が必要です。
2.製造業で多い労災事故の類型
製造業ではどういった類型の労災事故が多いのでしょうか?
2-1.死亡事故で多い類型
死亡事故が多く発生しているのは、以下の類型の事故です。
1位 はさまれや巻き込まれ事故
機械などにはさまれたり巻き込まれたりする死亡事故が非常に多く発生しています。全体件数である183件中、48件にも及びます。2位 墜落、転落事故
次いで多いのが墜落や転落による死亡事故で、29件となっています。3位 崩壊や倒壊による事故
足場などの崩壊や倒壊によって死亡する事故の件数が20件です。4位 激突される事故
機械や車などに激突されて死亡する事故が15件発生しています。5位 飛来・落下による事故
飛来物や落下物による死亡事故が12件発生しています。2-2.負傷を含めた労災事故が多い類型
製造業の労災で負傷件数が多い類型の事故は、以下の通りです(なお以下は死亡件数183件も含めた統計をもとにしています)。
1位 はさまれや巻き込まれ事故
死亡と同様、はさまれや巻き込まれによる負傷事故が非常に多くなっています。全体の労災発生件数が27,842件である中、はさまれや巻き込まれにより死傷した件数は7,044件です。2位 転倒事故
転倒によって死傷するケースが5,637件発生しており、2番目に多くなっています。3位 墜落や転落事故
墜落、転落による死傷事故が3,031件発生しています。4位 動作の反動や無理な動作
作業中の無理な動作などによってけがをするパターンです。平成30年には2,581件の労災事故が発生しています。5位 切れやこすれ
身体が切れたりこすれたりする負傷事故も多く、2,534件の死傷事故が発生しています。3.労災事故の多い製造業の業種
ひと言で製造業といっても、さまざまな業種に分けられます。労災事故の多いのは以下のような業種です。
3-1.死亡事故の多い業種
平成30年、製造業の労災事故で死亡者の多かった業種は以下の通りです。
1位 輸送用機械など
輸送用機械などの製造に携わる労働者の死亡件数がもっとも多くなっています。全体の死亡者数が183名のうち、輸送用機械に関連する死亡者数は30名です。2位 金属製品
次に死亡者数が多かったのが金属製品の製造であり、死亡者数は24名です。3位 化学工業
化学工業では18名の労働者が労災事故で死亡しています。4位 鉄鋼業
鉄鋼業における死亡者数は16名でした。5位 食料品製造業
食料品の製造業でも11名の労働者が死亡しています。3-2.負傷事故の多い業種
製造業の中で負傷者が多かった業種は以下の通りです(なお以下は死亡者183名も含めた統計をもとにしています)。
1位 食料品製造業
平成30年、製造業の中でもっとも労災件数が多かったのは食料品製造業です。全体件数が27,842件であるのに対し、食料品製造業における労災発生件数は8,162件にも及びます。食料品製造業では死亡者も多数出ているので、労災事故に特に注意が必要といえるでしょう。2位 金属製品
金属製品の製造業では4,432件の労災事故が発生しています。こちらも死亡者数も含めて多数労災事故が発生している業種であり、携わる方は要注意です。3位 化学工業
化学工業の分野では、2,120件の労災事故が発生しています。4位 輸送用機械等
輸送用機械等の業種では2,043件の労災事故が発生しています。輸送用機械では死亡事故の発生率が1位なので、労災発生件数の割に重大事故につながる割合が高いといえるでしょう。5位 一般機械器具
一般機械器具で労災事故が発生したケースは1,820件でした。4.労災事故に遭った場合の対処方法
製造業の労働中に死傷した場合、労災保険が適用されてさまざまな給付金を受け取れます。
- ○ 治療費
- ○ 休業損害
- ○ 後遺障害が残った場合の補償
- ○ 重傷の場合の年金補償
- ○ 介護給付
- ○ 遺族への葬祭費、支給金
労災に遭った労働者やご遺族が権利を守るには、法的な知識と対応スキルが必要です。弁護士による法的サポートを活用し、適切に補償を受けましょう。当事務所では山口で労災に積極的に取り組んでいますので、製造業で労災に遭われた方は是非とも一度、ご相談下さい。
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