【労災事故】交通事故の発生件数、多い業種、具体例を紹介
業務中や通勤退勤途中に交通事故に遭うと「労災」扱いとなります。
今回は道路上の交通事故による労災がどの程度発生しているのか、どういった業種で多いのか、具体例を交えて山口の弁護士が紹介します。
1.道路上の交通事故が労災となった件数
交通事故が「労災」になるのは、労働者が業務中や通勤退勤途中に交通事故に遭う場合です。運送業の方はもちろんのこと、営業車を使って外回りをする方や、社外を歩行中や作業中、警備中に車にはねられた場合などにも労災となります。
「平成30年労働災害発生状況の分析(厚生労働省)」という資料によると、平成30年における労災事故の全件数は127,329件、うち死亡事故は909件とされています。
そのうち交通事故による労災事故の件数は7,889件となっており、全体の6%強を占めます。労災死亡事故は175件で、死亡事故全体の19%にも及びます。
なおここでカウントしているのは「道路上の交通事故」に限り、その他の場所での交通事故は含みません。
2.交通事故の多い業種
労災としての交通事故が多い業種は以下の通りです。
1位 小売業
平成30年、もっとも交通事故による労災が多かったのは小売業です。小売業では商品の運送等のため車を運転する機会が多くなっていることなどが影響しています。外回り営業や配達をしているときに車にはねられるケースも多々あります。 平成30年には1,616件の交通事故が発生しています。2位 交通運輸事業
2番目に交通事故による労災が多かったのは交通運輸事業です。平成30年には1,053件の労災事故が発生しています。3位 通信業
通信業も野外作業が多く、交通事故に巻き込まれやすい状況です。平成30年には999件の労災事故(交通事故)が発生しています。4位 陸上貨物運送業
4番目に交通事故が多かったのは陸上貨物運送業です。平成30年には890件の労災交通事故が発生しています。5位 建設業
建設業でも道路工事中に交通事故に巻き込まれたり、現場へ向かうために車を運転しているときに交通事故に遭ったりする危険性が高くなっています。平成30年には598件の事故が発生しています。6位 社会福祉施設
社会福祉施設では送迎などのために車を運転する機会が多いため、交通事故が頻発します。平成30年には543件の労災事故が発生しています。3.交通死亡事故の多い業種
交通事故による死亡者の多い業種は以下の通りです。
1位 陸上貨物運送業
平成30年、もっとも交通事故による死亡者数が多かったのは陸上貨物運送業です。長時間労働による疲労等も影響している可能性があります。交通事故による死者数が175名であるのに対し陸上貨物運送業における死亡者数は47名に達し、4分の1以上を占めます。2位 小売業
2番目に交通事故による死者が多かったのは小売業です。平成30年には33名が死亡しています。3位 建設業
3番目に交通事故による死者が多かったのは建設業です。平成30年には31名が死亡しています。4位 警備業
警備員は道路警備中に交通事故に巻き込まれやすいので注意が必要です。平成30年には12名の死者が発生しています。また警備業では交通事故の全体件数としては多くないにもかかわらず死亡事故に限ると上位に入っているので、交通事故による「死亡リスク」が高いといえます。5位 製造業
製造業でも外回りなどで交通事故に巻き込まれるリスクがあります。平成30年には10名の死者が発生しています。4.交通事故が労災となった具体例
4-1.小売業
被災者は自転車で新聞配達を行っていましたが、交差点を横切った際に後方から大型トラックに衝突されて倒れました。
トラックは制限速度が時速30キロメートルのところを、時速50キロメートルを超えて走行していたため、ブレーキが間に合わずに被災者へ衝突しました。
4-2.製造業
深夜に残業が終わり、作業員が他の作業員を乗せて車を運転して自宅へ戻る最中に発生した事故です。バンの運転中、運転者がタバコを床に落としてしまったため拾おうと前屈みになったとき、バンが左にそれて道路脇の排水路に転落しました。その結果、運転者1名と同乗者2名の合計3名が負傷しました。3名ともシートベルトを着用していない状態でした。
当時、作業員らの毎月の残業時間は100時間を超えており、作業終了はほとんど深夜になっていて疲労が蓄積していました。
4-3.運送業
工事現場から複数のトラックが会社へ向かう途中に発生した多重交通事故です。
まず前方を走っていたトラックが道路脇の電柱に接触して左側に振られました。運転者は車体を立て直そうとしてハンドルを右に切ったところ、センターラインを越えてしまい、対向車線を走ってきた別のトラックと激突しました。その衝撃で後ろを走っていたトラックの運転席が破壊され、そのトラックの運転者は東部を負傷しました。前方トラックはそれでも止まらず対向車線を前方に走り続け、軽自動車と正面衝突してようやく停止しました。
一方を走行していた後方トラックもセンターラインを越えて対向車線に飛び出してしまい、別のトラックと正面衝突して停止しました。
この多重交通事故により、後方トラックの運転者は頭部挫傷等によって死亡、正面衝突されたトラックの運転手は打撲傷、また別のトラックの運転者は両足骨折、内臓破裂のけがを負いました。
4-4.電気通信工事業
道路の照明灯を設置する工事中に発生した交通事故です。
被災者は国道沿いのポールに照明灯を設置する作業中、邪魔になるので木の枝の除去作業を行っていました。すると10トントラックが作業場所に進入してきて高所作業車のアウトリガーに衝突し、高所作業車の上にいた被災者と高所作業車のアームを操作していた作業員が衝撃で道路上に投げ出されました。被災者は頭蓋骨骨折によって死亡しました。
4-5.建設業
道路の中央線の塗替え作業中に発生した交通事故です。
被災者員らは6名で作業にあたっていましたが、東方向からトラックが進入してきて突然センターラインを越え、作業中の作業員らに衝突して3名が被災しました。
4-6.清掃、と畜業
道路上の下水用マンホールの清掃・点検中に発生した交通事故です。被災者はマンホール内の洗浄を行っていたところ、走行してきた一般の乗用自動車にはねられて死亡しました。当時、交通誘導員は配置されていませんでした。
交通事故が労災になったときには労災保険の適用を受けられます。労災事故では一般の交通事故とは異なる対応が必要になる場面も多々あるので、まずは山口の弁護士までご相談下さい。
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