建設業の労災発生状況と対処方法
建設業は、毎年高い水準で労災による死亡事故が発生している業種です。携わる労働者の方は充分に労災事故対策をとる必要があるでしょう。
今回は建設業における近年の労災事故発生状況と、労災事故に遭ったときの対処方法を山口の弁護士が解説します。
1.建設業の労災事故発生状況
まずは建設業全体ではどのくらいの労災事故が発生しているのか、みてみましょう。
1-1.建設業の労災事故の全体件数について
厚生労働省が公表している「平成30年労働災害発生状況の分析等」によると、平成30年における建設業の労災事故は、15,374件でした。
労災事故がもっとも多かった業種は「製造業」の27,842件、2位が陸上貨物運送事業の15,818件で、建設業はそれらに次いで3番目に労災事故の多かった業種となっています。
1-2.建設業の労災事故発生件数の推移
建設業では前年や前々年と比較すると、労災事故の件数が微増しています。
平成26年には17,184件と多かったのですが平成27年には15,584件にまで減少し、平成28年にはさらに減少して 15,058件となりました。ところが平成29年には15,129件となり、平成30年には245件増えて15,374件となっています。
平成30年は前年である平成29年と比べて245名死傷者数が増え、割合にすると1.6%の増加となっています。
1-3.建設業における労災死亡事故について
建設業では、労災事故の死亡件数も多数発生しています。平成30年には309名の建設関係労働者が労災事故によって死亡しており、全業種で最多です。
ただし建設業内でみると、死亡者数は減少傾向にあります。平成26年には死亡者数が377名でしたが平成27年には327名となり、平成28年には294名となって300名を下回りました。
平成29年には323名に増えましたが、平成30年には14名が減少して309名となっています。割合にすると4.3%の減少率です。
2.建設業で多い労災事故の類型
建設業ではどういった類型の労災事故が発生しやすくなっているのか、みてみましょう。
2-1.死亡事故の多い類型
1位 墜落・転落事故
建設業で死亡事故の件数がもっとも多い類型は、墜落や転落による事故です。現場作業員の方などが建築中に高所から転落し、命を落とされています。平成30年における墜落・転落事故による死亡者数は136名です(全体の死亡者数は309名)。2位 交通事故
2番目に多いのは交通事故です。建設資材を運ぶ際などに交通事故に遭うケースも多くなっています。平成30年における発生件数は31件です。3位 はさまれ・巻き込まれ事故
機械などにはさまれたり巻き込まれたりする死亡事故が多数発生しています。平成30年における発生件数は30件です。4位 飛来・落下物による事故
飛来物や落下物が当たって死亡する類型の労災事故です。平成30年における死亡事故発生件数は24件です。5位 崩壊・倒壊による事故
5番目に多いのは、崩壊や倒壊に巻き込まれて死亡する類型の労災事故です。平成30年における発生件数は23件です。6位 激突される事故
機械などに激突されて死亡する類型です。平成30年における発生件数は18件となっています。2-2.労災事故全体で多い類型
建設業において、労災事故による死傷者数が多い類型は以下のとおりです。
1位 墜落・転落による事故
もっとも多いのは墜落や転落による死傷事故です。建設業における労災事故の全体件数が15,374件である中で、墜落や転落による死傷事故は5,154件に及びます。 墜落・転落事故では死亡事故もたくさん発生しているので注意が必要です。2位 はさまれ・まきこまれによる事故
建設業で労災事故が2番目に多いのは、機械などにはさまれたりまきこまれたりする事故です。平成30年における発生件数は1,731件となっています。3位 転倒事故
建設業では、作業中などに転倒によって負傷される方が多数おられます。件数的には1,616件となっています。4位 飛来・落下物による事故
飛来物や落下物により負傷する労災事故です。平成30年における発生件数は1,432件となっています。5位 切れやこすれによる事故
身体が切れたりこすれたりすることにより負傷する労災事故です。平成30年における発生件数は1,267件です。6位 激突される事故
機械や物などに激突されて負傷するケースです。激突事故では死亡件数も比較的多くなっているので注意が必要です。平成30年の発生件数は832件です。7位 高温や低温物との接触による事故
高温のものや低温の物と接触して負傷するケースがあります。件数的には340件です。3.建設業で労災事故に遭ったときの対処方法
建設業で労災事故に遭ったら、まずは労災保険の申請を行いましょう。
労災保険が適用されれば、病院における治療費や休業損害、後遺障害が残った場合の補償や介護給付などを受けられます。ご本人が死亡してしまった場合、ご遺族への給付も行われます。
また会社による管理方法に問題があって労災事故につながった場合、会社へと損害賠償請求できるケースもあります。ただしそのためには労災の発生状況を詳しく調べて証拠を集め、会社と交渉を行う必要が出てきます。
労災事故に適切に対応するには、弁護士によるサポートが必須となるでしょう。当事務所は山口県において積極的に労災事故への対応を進めておりますので、建設業で労災事故に遭ってお困りの方がいらっしゃいましたらぜひご相談下さい。
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