第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店など)の労災発生状況と対策
山口県には小売業や飲食店、社会福祉施設などのいわゆる「第三次産業」に関わる方が非常にたくさんおられます。こういった業種でも日々労災事故が発生しているので、携わる労働者の方は充分に注意が必要です。
今回は小売業や社会福祉施設などの第三次産業でどの程度の労災事故が発生しているのか、どういった類型の事故が多いのかなどについて、労災問題に積極的に取り組んでいる山口の弁護士が解説します。
1.小売業、社会福祉施設、飲食店の労災事故発生状況
小売業や社会福祉施設などの介護事業、飲食業などの第三次産業では、携わる労働者数が増えていることもあり、近年労災事故発生件数が増加傾向にあります。
厚生労働省の平成30年労働災害発生状況の分析等によると、平成30年の労災事故の全体件数は127,329件でしたが、うち小売業が14,947件、社会福祉施設が1,066件、飲食業が5,015件で、いずれも高水準となっています。
2.小売業、社会福祉施設、飲食店の労災事故発生件数の推移
2-1.小売業の労災事故発生件数の推移
小売業では、近年労災発生件数が増加傾向にあります。
平成26年には13,365件、平成27年には13,030件でしたが、平成28年には13,444件に増え、平成29年には13,881件となり、平成30年には14,947件へ急増しています。
平成30年と平成29年を比べると1,066件も増えており、割合にすると7.7%の増加率となっています。
2-2.社会福祉施設の推移
社会福祉施設では近年、労災発生件数が増加し続けているので注意が必要です。
平成26年には7,224件でしたが平成27年には7,597件、平成28年には8,281件、平成29年には8,738件、平成30年にはついに9,000件を突破して9,545件となっています。毎年500件やそれ以上増え続けていることが読み取れます。
平成30年と前年度を比べると807件増、割合にすると9.2%もの増加率になります。
2-3.飲食業の推移
飲食業でも労災事故が増加傾向にあります。平成26年には4,477件であったところ平成27年には4,687件、平成28年には4,791件、平成29年には4,721件となり平成30年には5,000件を突破して5,015件になっています。
平成30年と前年度を比べると件数的には294件増、割合にすると6.2%の増加率です。
第三次産業に関わる方は労災事故に巻き込まれる可能性が比較的高いといってよい状況です。
3.小売業、社会福祉施設、飲食店で多い労災事故の類型
小売業や社会福祉施設、飲食店で特に多いのはどういった労災事故なのか、類型別にみていきましょう。
3-1.小売業で多い労災事故の類型
1位 転倒
小売業でもっとも多いのは転倒事故です。全体件数が14,947件のうち、転倒事故は5,330件となっており3分の1を超えています。2位 動作の反動、無理な動作
次に多いのは無理な動作などによる負傷事故です。平成30年における発生件数は1,996件でした。3位 墜落、転落
墜落や転落による負傷事故もあります。平成30年における件数は1,680件でした。4位 交通事故
運送中などに交通事故に巻き込まれるケースも多々あります。平成30年における発生件数は1,616件でした。5位 切れやこすれ
身体が切れたりこすれたりする労災事故です。平成30年における発生件数は1,013件でした。3-2.社会福祉施設で多い労災事故の類型
1位 転倒
介護施設などでは介護者が転倒して負傷するケースが非常に多数発生しています。全体の労災事故件数が9,545件のうち、転倒事故が3,321件となっており全体の3分の1を超えています。2位 動作の反動、無理な動作
介護中に介護者が無理な動作をして身体を傷めるケースも多々あります。平成30年における発生件数は3,186件で、転倒に続いて多くなっています。3位 墜落、転落
3番目に多いのは墜落や転落によって負傷する事故です。平成30年には625件発生しています。4位 交通事故
介護事業所の車の運転中などに交通事故に巻き込まれるケースがあります。平成30年には543件発生しています。5位 激突
機械や物に激突されて負傷する事故です。平成30年には438件発生しています。3-3.飲食店で多い労災事故の類型
1位 転倒
飲食店でも転倒による事故が非常に多数発生しています。飲食店全体の労災事故発生件数が5,015件である中、転倒事故の件数は1,467件で3分の1を超えています。2位 切れやこすれ
2番目に多いのが切れやこすれによって負傷する事故です。件数的には1,154件となっています。 3位 高温、低温物との接触
飲食店では調理中や調理後の高温物に触れて事故に遭うケースも多数発生しています。平成30年には762件となっています。
4位 動作の反動、無理な動作
飲食物を運んだりする際に無理な動作によって負傷する労災事故も多数起こっています。平成30年の労災事故発生件数は409件となっています。
小売業、介護施設、飲食業などで労災事故に遭われたら、労災保険の申請や会社との話し合いなど、しなければならないことがたくさんあります。また長時間労働をされていた場合、未払いの残業代が発生しているケースも少なくありません。
弁護士によるサポートを受けることにより、適正に権利を実現して労災の給付金や会社からの補償金も受け取りやすくなるものです。
当事務所では労災保険の申請代行や会社への賠償金の請求などにも対応しております。第三次産業で労災事故に遭われた方がいらっしゃいましたら、お一人で抱え込まずに山口の弁護士までお気軽にご相談下さい。
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