【労災事故】崩壊・倒壊による事故の件数や事例について
足場の崩壊や建物や壁の倒壊などによる労災事故は、毎年多数発生しています。
崩壊・倒壊による労災事故はどういった業種で多いのか、件数的にどの程度なのか、具体的な事例も含めて山口の弁護士が紹介します。
1.崩壊や倒壊事故の全体的な件数
崩壊や倒壊による労災事故とは、足場や荷台が崩れて転落したり、壁や樹木などが倒れてきて下敷きになったりする事故です。
「平成30年労働災害発生状況の分析(厚生労働省)」によると、平成30年における労災事故の総数は127,329件で、うち死亡事故の件数は909件にのぼります。
そのうち崩壊や倒壊による事故は2,312件、死亡事故の件数は54件となっており、決して少ない数字ではありません。
現場作業を行っている労働者の方は充分注意が必要です。
2.崩壊や倒壊事故の多い業種
崩壊や倒壊による労災事故はどういった業種で多いのか、件数の多い順にご紹介します。
1位 製造業
もっとも多いのは製造業です。工場や野外などでの作業が行われる際、足元の荷物が崩れたり近くのものが倒壊してきたりする事故に遭いやすいことが影響しています。 平成30年における崩壊や倒壊による労災事故の件数は623件となっており、全体の4分の1以上を占めます。2位 建設業
崩壊や倒壊による事故が2番目に多いのは建設業です。足場が崩れたり壁が倒壊して下敷きになったりするケースなどが多数発生しています。平成30年における崩壊・倒壊事故による死傷者数は489人でした。3位 陸上貨物運送業
3番目に多いのは陸上貨物運送業です。トラックの荷台が崩れるなどの事故が多くなっています。平成30年における死傷者数は466人と、2位の建設業とほぼ並ぶ数字となっています。4位 小売業
4番目に多いのは小売業です。小売業では荷物の搬入搬出、倉庫保管などの際に事故に遭う危険性が高くなっています。平成30年における崩壊・倒壊による事故の件数は246件でした。5位 清掃、と畜業
5番目に多いのは清掃やと畜業です。平成30年における事故発生件数は60件でした。3.崩壊や倒壊による死亡事故の多い業種
次に崩壊や倒壊によって「死亡事故」が多く起こっている業種はどういったものなのか、件数の多い順にみていきましょう。
1位 建設業
死亡件数がもっとも多かったのは建設業です。けが人を含めた全体件数としては製造業の方が多いのに死亡者数は建設業で多いことには注意が必要です。建設業では危険場所での作業が多く、事故に遭うとけがでは済まず死亡リスクが高くなっていることが読み取れます。 平成30年における全業種での崩壊・倒壊による死亡者数が54名であるのに対し、建設業における死亡者数は23名にも及びます。全体の42%以上を建設業が占めている状態です。2位 製造業
2番目に死亡者数が多いのは製造業です。平成30年における崩壊・倒壊事故による死亡者数は20名でした。3位 林業
3番目に死亡者数が多いのは林業です。伐木が倒壊してきて下敷きになる事故などが多くなっています。平成30年における死亡者数は4名でした。4位 陸上貨物運送業、清掃・と畜業
陸上貨物運送業、清掃と畜業では、それぞれ3名の死者が発生しています。4.崩壊や倒壊事故の具体例
崩壊や倒壊による労災事故には具体的にどういった事例があるのか、みていきましょう。
4-1.製造業
飲料水製造工場における労災事故の事例です。
ペットボトルの材料(PET)を投入する作業を行っていた作業員が、作業現場に散らばったPETを片付けていました。するとPETが保管されていたフレコンバッグが倒壊してきて作業員は下敷きとなり、窒息死しました。事故の主な原因は、フレコンバッグに穴が空いていたのに適切に修補されていなかったことでした。
4-2.小売業
作業員が2名でガラスが入ったパレット2組(重量約1トン)をトラックに積み込む作業を行っていたときに発生した労災事故です。被災者は荷台の上で作業をしていましたが、作業中にパレットを固定していたフックが折れてパレットが倒れてきました。パレットはそのまま被災者に激突し、被災者は衝撃で荷台から転落して地面とパレットの間に挟まれて死亡に至りました。
4-3.運送業
クールボックス(重さ300キログラム)を倉庫の2階から1階へ、搬送機を使って降ろす作業中に発生した労災事故です。機械の異常を知らせるランプが点灯したために作業員が手動運転に切り替えると、荷物が傾いた状態で止まってしまいました。そこで3名の作業員が手で荷物を押したところ、受け台が外れて荷物が落下しました。受け台に載っていたクールボックスが倒れて1人の作業員の足が挟まれ、1人の作業員の右肩に当たり、1人の作業員は後方へ転倒して負傷しました。
4-3.建設業
5名の作業員が古民家を解体工事していたときに発生した労災事故です。
コンクリートブロック壁を引き倒そうと、電動ハンマー等を使って作業をしていたところ、突然コンクリートブロック壁が倒壊してきて作業員2名が下敷きとなり死に至りました。
4-4.建設業
雨水用の排水路の改修工事中に発生した労災事故です。
被災者らが3名で排水路のコンクリート床で作業をしていたとき、突然近くにあった重さ10トンの側壁が倒壊してきて被災者が挟まれ、即死しました。
4-5.林業
5名の作業員が杉の伐採・搬出の準備のために雑木(クヌギ)の伐採を行っていたときに発生した労災事故です。作業員らは現場責任者の指示に従って作業をしていましたが、突然木が裂けて倒壊してきたために、作業員が下敷きとなり、死亡しました。
5.崩壊・倒壊による事故に遭ったら
崩壊や倒壊による事故が発生すると、被災者が重傷を負ったり死亡したりする事例も少なくありません。
もしも被害に遭ったら労災保険を申請し、必要な給付を受けましょう。また事故の発生について会社に責任がある場合、会社へ損害賠償請求できる可能性もあります。きちんと会社と交渉して適切な補償をしてもらうべきです。
労働者が権利を実現するには法的な知識を持った弁護士によるサポートが必要です。
山口で労災事故に遭った場合には、お早めに山口の弁護士までご相談下さい。
労働問題のポイント
労働災害について
ケース別の労災
その他の労働問題
事務所情報
会社概要
弁護士法人牛見総合法律事務所
〒753-0074
山口県山口市中央5丁目2-34
セントラルビル5階
TEL 083−921−6377
FAX 083−921−6378
〒753-0074
山口県山口市中央5丁目2-34
セントラルビル5階
TEL 083−921−6377
FAX 083−921−6378
対応エリア
山口県全域
山口市、宇部市、防府市、萩市、下松市、岩国市、光市、長門市、下関市、 柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、大島郡、玖珂郡、熊毛郡、阿武郡、その他 (出張相談・県外については応相談)
山口市、宇部市、防府市、萩市、下松市、岩国市、光市、長門市、下関市、 柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、大島郡、玖珂郡、熊毛郡、阿武郡、その他 (出張相談・県外については応相談)