【労災】無理な動作による事故が多い業種や具体例を紹介
仕事中、無理な姿勢をとって腰や肩、背中などを傷めるケースがあります。
特に介護の仕事や荷物の積み卸しなどに携わる方は無理な動作、過剰な負荷によってけがをするケースが多く注意が必要です。
今回は「無理な動作」による労災事故が全体的としてどの程度発生しているのか、どういった業種が多いのかなど、具体例を交えて山口の弁護士が解説します。
1.無理な動作による事故の発生件数
無理な動作による事故とは、物を抱える際や運ぶ際、持ち上げる際などに無理な姿勢をとったり身体に過剰な力がかかったりして負傷する労災事故です。
平成30年労働災害発生状況の分析(厚生労働省)によると、平成30年における労災事故の全体件数は127,329件、うち死亡事故の件数は909件となっています。
そのうち無理な動作による労災事故は16,958件となっており、全体の13%以上にも及びます。前年度は16,177件だったところ、1年で781件増加しています。
なお平成30年において、無理な動作による死亡事故は発生していません。
2.無理な動作による労災事故が多い業種
無理な動作によって身体を傷める労災事故はどういった業種で多く発生しているのか、件数が多い順にご紹介します。
1位 社会福祉施設
もっとも多いのは介護事業所などの社会福祉施設です。無理な動作による労災事故の全体件数は16,958件ですが、そのうち3,186件が社会福祉施設で発生しており、割合的には約5分の1に及びます。介護の現場では労働者が利用者の入浴やトイレの介助、ベッドからの上げ下ろしなどの際に無理な姿勢をとるため、介助者が身体を傷めるケースが多くなっています。2位 製造業
2番目に多いのが製造業です。荷物の上げ下ろしや運搬などの作業の際に身体に無理な負担がかかることが影響しています。平成30年には2,581件の無理な動作による労災事故が発生しています。3位 陸上貨物運送業
3番目に多いのは陸上貨物運送業です。こうした業種でも荷物をトラックに積み込んだり下ろしたりする際に身体に過剰な負担がかかるため、負傷につながりやすくなっています。 平成30年における無理な動作による労災事故発生件数は2,404件に及びます。4位 小売業
4番目に多いのは小売業です。やはり物の運搬や積み卸しなどの作業が多いことが影響しています。平成30年における無理な動作による労災事故発生件数は1,996件でした。5位 接客、娯楽業
5番目に多いのは接客や娯楽業です。飲食物を運んだり片付けたりする際などに身体を傷めるケースがあります。平成30年における接客・娯楽業における無理な動作による労災事故発生件数は1,081件、うち飲食業では409件でした。3.無理な動作による労災事故の具体例
無理な動作によって発生する労災事故にはどういったものがあるのか、業種別に具体例を紹介していきます。
3-1.貨物取扱業
労働者が「かご台車」を使って納品作業を行っていた際に発生した労災事故です。通常時は2名で作業を行っていましたが、当日は被災者が1人で作業していました。かご台車を押したとき、1人の力では無理がかかって肩と腰を傷めました。
3-2.社会福祉施設
高齢者施設での労災事故です。労働者が入居者の姿勢を変えるため、寝ている利用者を手前に引き寄せようとしたときに腰に無理な負担がかかって負傷し、腰椎捻挫と診断されました。
3-3.社会福祉施設
高齢者施設において、労働者が利用者の食事介助を行おうとして発生した労災事故です。労働者が電動ベッド上の利用者の上体を起こそうとしたところ、利用者の身体がベッドの下の方に寄っていたので適正な位置に戻そうとしました。その際、利用者の身体の下に両手を差し込んでベッドの上部に抱え上げようとしたところ、無理な姿勢をとったために腰を傷めました。
3-4.社会福祉施設
社会福祉施設で利用者の入浴介助中に発生した労災事故です。労働者が利用者の上半身を抱え上げた際に過度な負担がかかって腰部に強い痛みを感じ、急性腰痛症と診断されました。
3-5.旅客運送業
バスの運転手が目的地に到着後、荷物室から乗客の車椅子を取り出すために無理な姿勢をとって腰背部を傷
3-6.製造業
組立現場において、作業員が2人でパワーコンディショナーを移動させていた際に腰を傷めたケースです。病院では腰椎捻挫と診断されました。
3-7.製造業
重さ約10kgの材料を床から腰の高さ程度まで持ち上げる作業を日常的に行っていた労働者の労災事故です。毎日10~20回程度作業を行っていましたが、ある日突然吐き気を催して嘔吐し、急激な腰の痛みによって立ち上がれなくなりました。病院を受診すると、腰に過度な負担がかかり続けたことを要因とする「疲労骨折(腰椎骨折)」と診断されました。
3-8.運送業
出荷場で配送トラックから約10kgの荷物(反物)を降ろしてリフトに乗せる作業を担当していた労働者が、作業中に身体のバランスを崩して腰を捻りました。病院では「筋膜性腰痛症」と診断されました。
無理な動作や過重な負担による労災事故が発生したときには、労災保険を受給すべきことはもちろん、会社側に責任が発生しているケースも多々あります。そういった場合、労災保険とは別に会社へ損害賠償請求が可能となります。
労働者が適切な補償を受けるには、専門の弁護士によるサポートが必須となるでしょう。当事務所では労災の被災者への支援や対策を強化しておりますので、仕事中に無理な姿勢が過剰な負担がかかって腰や肩、背中などを負傷されたなら、まずは一度山口の弁護士にご相談下さい。
労働問題のポイント
労働災害について
ケース別の労災
その他の労働問題
事務所情報
会社概要
弁護士法人牛見総合法律事務所
〒753-0074
山口県山口市中央5丁目2-34
セントラルビル5階
TEL 083−921−6377
FAX 083−921−6378
〒753-0074
山口県山口市中央5丁目2-34
セントラルビル5階
TEL 083−921−6377
FAX 083−921−6378
対応エリア
山口県全域
山口市、宇部市、防府市、萩市、下松市、岩国市、光市、長門市、下関市、 柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、大島郡、玖珂郡、熊毛郡、阿武郡、その他 (出張相談・県外については応相談)
山口市、宇部市、防府市、萩市、下松市、岩国市、光市、長門市、下関市、 柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、大島郡、玖珂郡、熊毛郡、阿武郡、その他 (出張相談・県外については応相談)