【労災事故】飛来・落下による事故の件数と多い業種、具体的事例について
物が飛来してきたり落下して当たったりして労災事故では死亡事故の件数も少なくありません。現場作業を行う労働者の方は注意が必要な状況といえるでしょう。
今回は飛来物や落下物による事故の件数や多い業種を、具体的事例をまじえて山口の弁護士が紹介します。
1.飛来・落下による労災事故の件数
飛来・落下による労災事故とは、物や液体などが飛んできたり落下してきたりして労働者の身体に当たる事故です。
厚生労働省が公表している資料(平成30年労働災害発生状況の分析)によると、平成30年における労災事故の全体件数は127,329件、うち死亡事故の件数は909件です。
そのうち飛来・落下による労災事故は6,410件で、割合にすると全体件数の5%超となっています。飛来・落下による死亡事故は53件で、死亡事故全体の6%弱です。
2.飛来・落下による労災事故の多い業種
飛来や落下による労災事故が多い業種はどういった業種なのか、多い順にご紹介します。
1位 製造業
平成30年にこのタイプの労災事故がもっとも多かったのは製造業です。製造業では作業中に物が飛んできたり破裂して当たったりして被害に遭いやすいことが影響しています。 飛来・落下による労災事故の全件数は6,410件でしたがそのうち製造業は2,023件となっており、全体の30%以上を占めています。2位 建設業
2番目に多かったのは建設業です。建設業でも作業中に資材や建築物などが落下してきて被害に遭いやすいためです。平成30年における事故発生件数は1,432件で、全体に対する割合にすると22%超となります。3位 陸上貨物運送業
3番目に多かったのは陸上貨物運送業です。荷物の積み卸しなどの際に物が落下して身体に当たる被害が多くなっています。平成30年におけるこの類型による事故発生件数は762件でした。4位 小売業
4番目に多いのは小売業でした。荷物の搬入搬出、倉庫からの出し入れなどの際に作業員が被害に遭うケースが多くなっています。平成30年には519件の事故が発生しています。5位 林業
林業も飛来や落下による労災事故に遭いやすいので注意が必要です。伐採中に伐木が飛んできて死傷するケースが多くなっています。平成30年には224件の被害が発生しています。6位 清掃、と畜業
清掃・と畜業では平成30年に215件の飛来・落下による事故が起こっています。3.飛来・落下による労災死亡事故の多い業種
飛来・落下によって死亡事故が多かったのは以下の業種です。
1位 建設業
建設業では飛来や落下による「死亡事故」が非常に多いので注意が必要です。けが人を含めた死傷者数は製造業の方が多いにもかかわらず、死亡者数は建設業の作業員の方が圧倒的に多数となっています。 平成30年には24名の作業員が飛来物、落下物によって死亡しています。全業種における死亡者数は53名なので、45%以上の死者が建設業で発生している状況です。2位 製造業
2番目に死亡事故が多いのは製造業です。平成30年における死亡者数は12名でした。3位 林業
3番目に死亡事故が多いのは林業です。平成30年における死亡者数は5名でした。4位 陸上貨物運送業
4番目に死亡事故が多いのは陸上貨物運送業です。平成30年には4名がこの類型の労災事故で死亡しています。5位 清掃・と畜業
清掃、と畜業でも平成30年に2名の死者が出ています。4.飛来・落下による労災事故の具体例
4-1.製造業
被災者が作業場にて液面警報フランジの内側の研磨作業を行っていた際に発生した労災事故です。被災者が作業を終えてスイッチを切ったところ、作業に使っていた砥石が突然4つに割れ、うち1つが被災者のくるぶしめがけて飛んできました。そのまま強い勢いで当たったため、被災者は足を負傷しました。
4-2.製造業
自動車や工作機械の部品鋳造作業中に発生した労災事故です。
作業員が鋳型の下に入り込み、鋳型の内部に残っている木型を取り外す作業をしていたところ、鋳型の一部が崩落したため作業員は砂の固まりの下敷きになりました。
この事業場では、鋳型に不良が生じた場合の作業手順が定められていなかったことなどが事故につながったと考えられます。
4-3.製造業
アルバイト作業員が油圧プレスで錨の材料を押し曲げる作業をしていたところ、突然金型が破損して破片が作業員の身体を直撃しました。作業員はすぐに病院に運ばれましたが、死亡に至りました。
作業員は初心者でしたが、この工場では新たに作業に従事する労働者に対する安全衛生教育が行われていませんでした。
4-4.建設業
建設工事用の鉄骨をトラックからクレーンで降ろす作業中に発生した労災事故です。
作業指揮者のもと、作業員2名がトラックの荷台上で鉄骨の玉掛け作業を行っていましたが、1つの鉄骨をクレーンでつり上げた際、別の鉄骨が倒れて荷台上にいた作業員に当たりました。作業員は転落し、落ちてきた鉄骨の下敷きになって死亡しました。
4-5.建設業
仮設道路上で、トラッククレーンの荷台にドラグ・ショベルを積み込む作業をしていた最中に発生した労災事故です。
作業員は現場でドラグ・ショベルをトラッククレーンに載せるため、平坦な場所にトラックを停車して車体を傾け、ドラグ・ショベルを自走させて荷台に載せようと試みました。しかしドラグ・ショベルがスリップして道板を登れなかったため、作業員は傾斜のある工事用仮設道路にトラックを移動させてドラグ・ショベルを運転し、荷台に載せました。
するとトラッククレーンが坂道を勝手に走り出して崖下に落ちて横転し、作業員はドラグ・ショベルのアームと地面にはさまれて死亡に至りました。
4-6.清掃、と畜業
被災者は高圧水によって堆積粉じんを粉砕する作業を行っていました。
当初は逆噴射ノズルを使って洗浄作業をしていましたが、なかなか粉じんを除去できなかったために配管内に入って直射ノズルによって堆積粉じんを粉砕することにしました。
配管に入ってジェットガンにて粉じんを除去しようとした際、誤って作業員自身の大腿部にジェットガンを誤射してしまい、負傷しました。
5.飛来、落下物の労災事故に遭ったら
飛来や落下物によって労災に遭ったら、まずは労災保険を申請して必要な給付を受ける必要があります。また会社へ損害賠償請求できる事例も多々あるので、きちんと話し合いをして補償してもらいましょう。
労働者が適切な補償を受けるには弁護士によるサポートが必要です。当事務所では労災被災者への支援に力を入れておりますので、山口で労災事故にお困りの方やご家族様はお早めにご相談下さい。
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