陸上貨物運送事業の労災事故発生状況と対策
陸上貨物運送業では、毎年高い水準で労災事故が発生しています。死亡事故発生件数も多くなっているので、運送業に携わる労働者の方は注意が必要です。
今回は陸上貨物運送業でどの程度労災事故が発生しているのか、特に多い類型の事故について、山口の弁護士が解説します。
1.陸上貨物運送業の労災事故発生状況
まずは陸上貨物運送事業でどの程度の労災事故が発生しているのか、みてみましょう。
平成30年労働災害発生状況の分析(厚生労働省)によると、陸上貨物運送業における労災事故の発生件数は15,818件です。全業種の労災発生件数は127,329件であったところ、陸上貨物運送業は「製造業」の27,842件に次いで2番目に労災事故が多数発生しています。
陸上貨物運送業の労災による死亡者数は102人であり、建設業、製造業に次いで3番目に多くなっています。全体の労災死亡事故は909件ですので運送業ではその11%以上を占めているといえ、死亡事故が多い業種といえるでしょう。
2.陸上貨物運送業における労災事故件数の推移
陸上貨物運送業における労災事故の発生件数は、近年増加傾向にあります。
平成26年に発生した労災事故の件数は14,210件でしたが平成27年には13,885件、平成28年には13,977件と14,000件を割り込む水準となっていました。ところが平成29年に14,706件に急増し、平成30年には15,818件にまで増えています。平成30年の労災事故発生件数を前年と比べると7.6%の増加率です。
陸上貨物運送業において年間の労災事故発生件数が15,000人を超えたのは、平成20年以来10年ぶりとなっています。
3.陸上貨物運送業における労災死亡事故の発生状況
ただし死亡事故に限ってみると、件数は減少傾向にあります。陸上貨物運送業における労災死亡事故は平成26年には132件、平成27年には125件ありましたが平成28年にはいったん99件にまで減少します。平成29年には再び137件にまで増えますが、平成30年には35件が減って102件となり、割合にすると25.5%の減少率となっています。
4.陸上貨物運送事業における労災事故で多い類型
4-1.死亡件数の多い類型の事故
1位 交通事故
陸上貨物運送業の労災で死亡事故がもっとも多いのは、道路上の交通事故です。全体の死亡者数が102名である中、交通事故による死亡者数は47名となっていて5割近くにものぼります。2位 墜落・転落事故
陸上貨物運送業で2番目に死亡件数の多いのが墜落や転落による労災事故です。件数的には14件です。3位 はさまれ、まきこまれ事故
3番目に死亡件数の多い類型は、はさまれ・まきこまれによる事故です。特に運転手がトラックに挟まれて死亡するケースなども多数発生しており注意が必要です。平成30年における発生件数は10件です。4位 高温、低温物との接触
高温物や低温物との接触によって死亡する事例も多数あります。危険物を運ぶケースが多いことが影響していると考えられます。平成30年における発生件数は7件です。5位 飛来物、落下物による事故
飛来物や落下物が当たって死亡事故が発生するケースもあります。平成30年には4名の死亡者が出ています。6位 崩壊や倒壊による事故
足場などの崩壊や倒壊によって命を落とす方もおられます。平成30年における発生件数は3件です。4-2.負傷事故の多い類型
次に、陸上貨物運送業で負傷者数の多い類型の労災事故をみてみましょう。
1位 墜落・転落による事故
もっとも多いのは墜落や転落による事故です。平成30年には4,410件(全体件数は15,818件)の墜落・転落による事故が発生しています。2位 転倒事故
次いで多いのは転倒事故で、件数的には2,651件となっています。3位 動作の反動や無理な動作による事故
荷物の積み込みなどにおいて、無理な動作等により負傷される労働者の方も多数おられます。平成30年におけるこの類型による労災事故発生件数は2,404件となっています。4位 はさまれ、まきこまれによる事故
はさまれ、まきこまれによって負傷されるケースも多々あります。平成30年には1,674名の労働者の方がこの類型の労災事故で死傷しています。5位 激突される事故
車などに激突されて負傷するパターン(交通事故以外)もあります。平成30年には1,164件発生しています。6位 交通事故
交通事故によって負傷するケースは、平成30年に890件発生しています。うち47件は死亡事故、残りの843件が負傷事故です。5.陸上貨物運送業で労災事故に遭ったら
陸上貨物運送業に携わっていて労災事故に遭ったら、まずは労災保険の申請をして給付金を受け取ることが重要です。労災保険がおりれば治療費や休業損害、後遺障害が残ったときの補償や介護給付などを受け取れます。万一労働者が死亡した場合にも、ご遺族へ給付金や葬祭料が支払われます。
また違法な長時間労働をさせられていたケースなどでは会社へ損害賠償請求することも可能です。
労災事故に対応するには、労基署とのやり取りや会社との交渉など、専門的な対応を要求されます。お困りの際には山口の弁護士がお力になりますので、運送業の労災事故に遭われたなら、まずは一度ご相談下さい。
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