【労災】転倒事故の件数や事例について
労災事故では「転倒」が原因で労働者が死傷するケースが非常に多くなっています。
転倒事故はどのくらい発生しているのか、どういった業種で転倒事故が多いのか、また転倒事故の事例としてどのようなものがあるのか、労災対策に積極的に取り組んでいる山口の弁護士が解説します。
1.転倒事故全体の件数
転倒事故とは、足場が悪くて転倒したり物に足をひっかけて転んだり床が濡れていて滑って転倒したりする事故をいいます。
平成30年労働災害発生状況の分析(厚生労働省)によると、平成30年における労災事故の全体件数は127,329件、うち死亡事故の件数は909件となっています。
全体件数127,329件のうち「転倒」による労災事故発生件数は31,833件となっており、かなり大きな割合を占めます。また平成29年には転倒事故の件数が28,310件であったところ、3,500件以上の大幅な増加となっています。
平成30年における転倒による死亡事故の発生件数は28件です。平成29年には22件であったところ、こちらも増加しています。
2.転倒事故が多い業種
1位 製造業
転倒による労災事故が特に多いのは、製造業です。平成30年には5,637件が発生しています。2位 小売業
2番目に転倒事故が多いのは、小売業です。平成30年には5,330件の転倒事故が発生しています。3位 社会福祉施設
3番目に転倒事故の多いのは介護施設などの社会福祉施設です。平成30年には3,321件の事故が発生しています。4位 建設業
4番目に転倒事故が多いのは建設業です。平成30年には1,616件の転倒事故が発生しています。5位 飲食業
5番目に転倒事故の多いのは飲食業です。平成30年の発生件数は1,349件です。3.転倒による死亡事故の多い業種
1位 製造業、建設業
転倒による死亡事故がもっとも多い業種は製造業と建設業です。平成30年の転倒による労災死亡者数は28名でしたが、そのうち製造業と建設業でそれぞれ6名が死亡しています。3位 清掃、と畜
3番目に死亡事故が多いのは、清掃・と畜業です。平成30年には死亡者が5名出ています。4位~6位 林業、農産畜産水産業、小売業
4~6番目は林業と農産畜産水産業、小売業です。平成30年にはそれぞれ死亡者が2名出ています。4.転倒事故の具体的な事例
以下では転倒による労災事故にどのようなものがあるのか、具体的な事例をご紹介します。
4-1.倉庫業
倉庫内で労働者が、パレットに積まれた箱を運び出していた際に転倒したケースです。梱包のために使用されていたPPバンドに足を引っ掛けて転倒しました。
4-2.運送業(労働者本人ではなくフォークリフトの横転事故)
粉末セメントが入った重量1トンのフレコンバッグを、労働者がフォークリフトでつり上げて運搬していた最中に起こった死亡事故です。労働者がフォークリフトを使ってトラックの荷台に積み込んでいたところ、フォークをベルトから抜く前にトラック運転手がトラックを発進させてしまったため、フォークが引っ張られてフォークリフトが横転しました。フォークリフトの運転者はフォークリフトのヘッドガードと床の間に挟まれ死亡に至りました。
4-3.介護事業
介護に携わる労働者が、入浴の介助中に利用者を前方から抱えて支えようとしましたが、支えきれずに利用者を抱えたまま倒れてしまいました。
労働者は壁に激突し、頭部や肩等を打撲して負傷しました。
4-4.飲食業
店内の調理場において労働者が冷蔵庫へ食材を取りに行く際、床が濡れていたために足を滑らせて転倒しました。
4-5.商業
クリーニング店の従業員が仕上がった衣類を車両に積み込んでいたとき、地面が凍っていたために足を滑らせて転倒しました。身体をかばおうと手をついたため、手首を骨折しました。
4-6.商業
クリーニング店の従業員が受付カウンターで作業していた際、カウンターの下を走っていた電源コードに足をひっかけて転倒し、骨折しました。
4-7.小売業
スーパーマーケットの従業員が、裏の作業場から店に出るために惣菜売り場の横にあったスイングドアを通ろうとしたとき、売り場の床が水で濡れていたために足を滑らせて転倒して負傷しました。
4-8.製造業
砕石機械等の製造業における労災事故です。労働者が工場内でフォークリフトを運転して坂道を下っていた際、前方に大型トラックが停車していたのでよけるために横へハンドルを切りました。
しかしハンドル操作が急だったために、勢いがついてフォークリフトが転倒し、労働者は骨折しました。
以上のように、転倒事故が発生するパターンはさまざまです。どのような業種に携わる方にも無関係とはいえないでしょう。
5.転倒事故に遭った場合の対処方法
5-1.労災保険の申請をする
労働中に転倒事故に遭ったら、まずは労災保険の申請をしましょう。労災保険が適用されると、治療費や休業損害、後遺障害が残った場合の給付などを受け取れます。死亡事案では遺族への年金等の支給もあります。
労災保険給付金は労基署へ申請して、労災認定を受ければ受け取ることが可能です。
5-2.会社の責任を追及する
職場の安全管理が不完全であった場合、会社に対して損害賠償請求できる可能性があります。まずは証拠を集めて会社と交渉を進めましょう。
労災事故に遭ったときには、泣き寝入りをせずに適切な補償を受ける必要があります。弁護士がサポートいたしますので、山口で労災事故に遭ってお困りの方がいらっしゃいましたらぜひご相談下さい。
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