【労災事故】はさまれ・巻き込まれによる事故が多い業種や具体的なケースについて
機械や車などにはさまれたり巻き込まれたりして死傷する労災事故は、毎年多数発生しています。はさまれたり巻き込まれたりすると死亡のリスクも高くなるので、日常的に危険な作業に携わる方は要注意です。
今回は、はさまれや巻き込まれによる労災事故の発生件数、多い業種や具体的な事例を山口の弁護士が紹介します。
1.はさまれや巻き込まれによる労災事故の発生件数
はさまれや巻き込まれによる労災事故とは、機械に身体や指などをはさまれたり巻き込まれたり、あるいはトラックや荷台などにはさまれたりする労災事故です。
まずはこれらの事故がどのくらい発生しているのか、みてみましょう。
厚生労働省の資料(平成30年労働災害発生状況の分析)によると、平成30年における労災事故の全体件数は127,329件、うち死亡事故の件数は909件となっています。
そのうちはさまれや巻き込まれによる労災事故の件数は14,585件です。全体の11%を超えており、件数的にはかなり多いといえるでしょう。死亡件数も113件となっており、全体の12%を超えます。
はさまれや巻き込まれによる労災事故に遭う可能性のある職種の方は、日頃から充分な対策が必要です。
2.はさまれや巻き込まれによる労災事故の多い業種
はさまれや巻き込まれによる労災事故が多いのは、以下のような業種です。
1位 製造業
はさまれや巻き込まれによる労災事故が圧倒的にたくさん発生しているのは「製造業」です。 特に工場作業員などが機械に巻き込まれて死亡するケースが多くなっています。 平成30年にははさまれや巻き込まれ事故の全体件数が14,585件であるのに対し、製造業では7,044件が発生しており、約半数近くに及びます。2位 建設業
2番目に多いのが建設業です。建設業でも各種の機械やトラック等を利用するのではさまれや巻き込まれによる事故が起こりやすくなっています。平成30年には1,731件の事故が発生しています。3位 陸上貨物運送事業
3番目に多いのが陸上貨物運送事業です。トラックによるはさまれ事故が多いと考えられます。平成30年における発生件数は1,674件です。4位 商業
商業でもはさまれや巻き込まれによる事故が起こります。荷物の積み卸しなどの際などに事故が発生していると考えられます。特に小売業における発生件数が多数です。 平成30年には商業全体で1,405件、うち小売業で922件の事故が発生しています。3.はさまれや巻き込まれによる死亡事故の多い業種
次に、はさまれや巻き込まれによる死亡事故が多い業種をみてみましょう。
1位 製造業
やはり最も多いのは製造業です。平成30年におけるはさまれ巻き込まれによる労災死亡事故の件数が113件であるのに対し、製造業におけるこの類型の労災事故の死者数が48名となっています。2位 建設業
2番目に多いのは建設業です。平成30年における死者数は30名にも及びます。建設業では労災事故全体の発生件数の割に死亡事故の割合が高いといえ、危険な事故が発生しやすい状況であることがみてとれます。3位 陸上貨物運送業
3番目に多かったのは陸上貨物運送業です。平成30年における死者数は10名でした。4位 商業
4番目に多かったのは商業です。平成30年には商業全体で8名の死亡者が出ており、うち4名は小売業従事者でした。4.はさまれや巻き込まれによる労災事故の具体例
4-1.建設業
複数の労働者が建物の解体作業を行っていた際に発生した労災死亡事故です。
被災者は廃材の入ったフレキシブルコンテナバッグの帯を機械のアタッチメントに引っ掛ける作業を行っていました。被災者が合図をしたため機械の運転者が操作を行ったところ、被災者がアタッチメントに挟まれて頭部骨折し、死亡に至りました。
4-2.製造業
労働者は味噌醸造のため、大豆をベルトコンベアーでチョッパーに自動投入してすりつぶす作業を行っていました。
機械に大豆が詰まったため、労働者はトラブルを解消しようとして機械に手を差し入れました。このとき機械を停止しなかったために手をスクリューフィーダーに巻き込まれ、手首を切断するけがをしました。
4-3.派遣業
経験1か月の外国人作業員がパソコンデスク用レールの曲げ作業を行っていて発生した労災事故です。作業員はプレス機内へ手を差し込んだまま起動ペダルを踏んだため、プレスが作動してしまい右手首を切断しました。
4-4.運送業
屋内作業場でトラックへ荷積みを行っていた作業員が遭遇した労災事故です。
トラックの近くでフォークリフトを使って荷物移動をさせていた運転者がフォークリフトを後退させたところ、トラックの荷台の側に被災者がいてフォークリフトとトラックの間に挟まれて死亡しました。当日は雨天でフォークリフトの誘導員も配置されていませんでした。
4-5.建設業
一般家屋の解体作業中に発生した労災死亡事故です。被災者はドラグ・ショベルで支えられた立木に対し、チェーンソーで切り込みを入れる役割でした。ところがドラグ・ショベルの運転者が被災者に気づかずに後退させてしまったため、後方にいた被災者は両足を挟まれてしまいました。救急車で病院に運ばれましたが、2日後に死亡しました。なおドラグ・ショベルの運転者は運転資格を取得していませんでした。
4-6.商業
フォークリフトの修理点検を行っていた被災者のケースです。
被災者がフォークリフトの下に潜り込んで点検作業を行っているとき、点検中であることを知らされていなかった関連会社の社員がフォークリフトを発進させてしまいました。フォークリフトは点検作業をしていた被災者の左脇腹から右足にかけて轢いてしまい、被災者は病院へ搬送されましたが死亡に至りました。
4-7.社会福祉施設
介護事業所の施設内で被災者が配膳車によって食事を運んでいたとき、配膳車を止めようとしましたが止まりませんでした。そのまま前に進み、配膳車の車輪に足首がはさまれて被災者は負傷しました。
労災事故に遭ってしまったら、まずは労基署へ労災保険の申請を行う必要があります。また会社側が安全措置をとっていなかった場合、会社への損害賠償請求も可能です。
労災事故に巻き込まれてどのように対応すべきか迷っている方がおられましたら、まずは一度、山口の弁護士までご相談下さい。
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