【労災事故】激突事故の発生件数や多い業種、具体例について
作業中、機械や車などのさまざまなものに「激突」されて死傷する労働者の方が少なくありません。激突事故では死者も多数発生しているので、事故発生の可能性の高い仕事をなさっている方は充分に注意が必要です。
今回は労災の中でも「激突事故」がどのくらい発生しているのか、特に多い業種や具体的な事例について、山口の弁護士が解説します。
1.激突事故の発生件数
激突事故とは、機械や車などに激突されたり激突したりすることによって発生する労災事故です。タイヤが破裂して負傷したりガラス窓にぶつかったり金型やエレベーターの部品、橋などに激突したりトラッククレーンに激突されたりなど、さまざまなケースがあります。
厚生労働省の「平成30年労働災害発生状況の分析」によると、平成30年における労災事故の全体件数は127,329件、うち死亡事故の件数は909件です。
そのうち激突されたことによる労災事故の件数は5,373件、激突したことによる労災事故の発生件数は6,354件、合計で11,727件にのぼります。
激突されたことによる死亡事故の件数は58件、激突したことによる死亡事故の件数は3件、合計で61件となっています。
前年度との比較
平成29年には激突されたことによる労災事故の件数が5,119件、激突したことによる労災事故の件数が6,111件で合計11,230件だったので、平成30年には合計で500件近く増加しています。一方、激突されたことによる死亡件数は83件、激突したことによる死亡件数は3件の合計86件だったので、平成30年には20件以上減少している状況です。
2.激突事故が多い業種
激突による労災事故が特に多い業種は以下の通りです。
1位 製造業
激突事故がもっとも多いのは製造業です。平成30年における激突を原因とした労災事故の件数が11,727件であるのに対し、製造業では激突された件が1,174件、激突した件が1,303件、合計2,477件が発生しています。激突事故の21%以上が製造業で発生している状況といえます。2位 陸上貨物運送業
2番目に多いのは陸上貨物運送業です。平成30年には激突された件が820件、激突した件が1,164件、合計1,984件の激突事故が発生しています。割合にすると16%を超えます。3位 建設業
激突事故が3番目に多いのが建設業です。平成30年には激突された件が832件、激突した件が636件、合計1,468件の激突事故が発生しています。割合にすると12%以上になります。4位 小売業
激突事故が4番目に多かったのは小売業です。小売業では荷物の搬入や搬出、積み込みなどの際にさまざまな機械を使うため、激突の危険性が高くなっていると考えられます。平成30年における小売業での激突された事故の件数は408件、激突した事故の件数は666件、合計1,074件です。5位 社会福祉施設
社会福祉施設でも激突事故が数多く発生しています。ベッドや食事の搬送機など、さまざまな機械用具を使うケースがあるためと考えられます。 平成30年における激突された事故の発生件数は337件、激突した事故の発生件数は438件、合計775件でした。3.激突による死亡事故が多い業種
次に、激突による死亡事故の多い業種をみてみましょう。
1位 建設業
もっとも激突事故による死亡者数が多いのは建設業です。資材の運搬や建設工事にさまざまな車や機械を利用することや、建物や橋などの建設物に激突しやすいことが影響していると考えられます。 平成30年における激突にもとづく死亡事故の件数は、激突されたものが18件、激突したものが1件、合計19件となっています。2位 製造業
2番目に死亡事故が多いのは製造業です。平成30年には、激突されたことによって死亡事故が15件発生しています。3位 林業
3番目に激突による死亡事故の多いのは林業です。林業では危険な機械を利用しますし伐木が倒れて激突される被害も発生しやすいからです。平成30年には激突されたことによって12件の死亡事故が発生しています。4位 陸上貨物運送業
4番目に激突事故で死亡者が多いのが陸上貨物運送業です。平成30年には激突されたことによって3名が命を落とし、激突したことによって1名が死亡されています。5位 清掃、と畜
清掃、と畜業でも激突事故が発生します。平成30年には3名の方が激突されて死亡しています。4.激突事故の具体例
激突事故には以下のようなものがあります。
4-1.製造業
自動車の製造用金型のメンテナンス作業中に発生した労災事故です。作業員が2人で作業を行っていたときに一方の作業員がピンを抜こうとしたところ、金型が後ろに倒れて被災者の上に倒れ掛かり、被災者は下敷きとなりました。直ちに病院に運ばれましたが、死亡に至りました。現場ではクレーンも利用されず、安全のための手順書なども配布されないまま作業が行われていました。
4-2.建設業
農業用排水路を改修するための工事で、土砂を運搬する作業中に発生した労災事故です。
作業を終える間際、午後5時頃に被災者が土砂を運ぶため不整地運搬車を後方へ向けて運転していたところ、排水路にかかっていたコンクリート製の橋に激突しました。
運転していた被災者は橋と荷台の握り棒の間にはさまれていた状況で、すぐに病院に搬送されましたが死亡に至りました。
被災者は不整地運搬車の運転資格を持っておらず、会社でも資格の有無を確認されていませんでした。
4-3.建設業
建設現場においてクレーンで杭を吊り上げた際、吊り荷がトラック上にいた被災者の頭部に激突した労災死亡事故です。
被災者は、現場責任者の指示によって同僚のトラックから杭を荷降ろししていました。同僚がクレーン運転士に杭をつり上げるよう合図し、運転士が50cm程度つり上げたときに杭がトラックの運転席に向かって振れたため、運転士は急いでジブを旋回させました。しかしトラック上の被災者の頭部に激突してしまい、被災者は病院に移送されましたが、脳挫傷によって死亡しました。
4-4.商業
ゴルフ場において運転経験の浅いキャディがカート運転を練習していた際に発生した労災事故です。4名を乗せてカートを運転していたとき、前方が詰まっている状況で後の客のカートが近づいてきたため、運転者はカートをバックに入れて道路脇に寄せようとしました。しかし操作を誤ってカートを急発進させてしまったため、後方の木に激突して乗車していた4名全員がむちうちになりました。
激突事故では死亡するケースも多数あるので注意が必要です。特に製造業や建設業では激突事故の危険性が高くなっています。労災事故に遭ったときには労災保険の申請や会社との交渉などに対応しなければなりません。お一人で対応するのは困難となるケースも多々ありますので、お困りの際にはぜひ山口の弁護士までご相談下さい。
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